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2018年4月○日 行者にんにく

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先日来の雨で桜は散ってしまい、葉桜となっていた。

今日は空さんが会社の友達と3人で予約を入れてくれていた。
「寒い~!寒の戻りね」と言いながら最初から熱燗の注文だった。

刺身は鯛の昆布締めとタイラギ(平貝)の炙り、アテには青海苔の佃煮をお出しした。

「ママ、ちょっと聞いてくださいよ~」と空さんは言って、横に座っている多分一番若そうな女性を指差した。
「この子まだ入社したばっかりで仕事も覚えてないのに、もうさっさと彼氏を捕まえて結婚するんですよ~」
「あら お目出度いお話じゃあないですか」と言うと
指差された女性は
「仕事はこれからちゃんと覚えます~。相手を捕まえるのは早いもの勝ちですから~」
と言って肩をすくめて笑った。

学生の頃、友達が
「将来性のありそうな男は学生の時に捕まえとかないと、社会に出てからだと競争率高くなるんだよ」
と言っていたのを思い出していた。
友達は、その言葉通り卒業してすぐ大学の先輩と結婚した。

「お仕事は?せっかくいい会社に入社されたのに辞めるのはもったいないですよね」と言うと
「ママ、今どき寿退社する子なんていませんよ~。子供が出来ても働きます」
と言って3人で「そうよね、そうよね」とあいずちを打っていた。

「ママはバツいちなんですか~?」とその女性があっけらかんと言い、空さんが
「松本ちゃん、失礼でしょ!ママすみません。最近の若い子ってこうなんです」とたしなめた。
「あらいいのよ。みんな知ってることだから。はい立派なバツいちですよ」

「でも結婚しないとバツいちにはなれないんだもんね。私はどうしようかなぁ」
と空さん。
彼女は旅行会社に勤めていて30歳手前、独身だった。
「30になったら考えるか~ さぁ飲もう飲もう、一応松本ちゃんのお祝いだからね」と言って
「お目出たくないけど、乾杯~」と楽しそうにお酒は進んでいった。

2時間ほど経ってお店も立て込んできたので、空さんは気をきかせて
「さっ、そろそろお開きにしよ!ママひと口だけご飯もの食べたいんだけど」
と言うので、小さな焼きおにぎりをお出しした。

「これ 芳ばしくて美味しい!何が入ってるんですか~」
「これね、行者にんにく味噌を混ぜ込んで、おにぎりにして炙ってるんですよ」と答えると
「行者にんにくってなんですか?聞いたことな~い」
ともう一人の女性が指に付いたご飯粒を舐めながら言った。

私は1本残しておいた行者にんにくを取り出した。
「へ~、にんにくというよりギボシか葱みたいですね~」と言って匂いを嗅いでいた。


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行者にんにく味噌
材料
・行者にんにく 50g
・合わせ味噌  100g
・砂糖     大匙1
・味醂     大匙1
・酒      大匙2

・行者にんにくは小口切りにしておく。
・調味料を鍋に入れて焦がさないようにぽってりするまで炒める。
・行者にんにくを加えてさっと混ぜ合わせて火を止める。

私は焼きおにぎりは芳ばしさが出るくらいに、さっと炙るのが好み。
余り表面をかりかりにしてしまうと、固くなったご飯粒が歯に挟まって好きではない。
でも、これはお好みで…


行者にんにくの画像

以前の空さんの話




Commented at 2018-04-08 22:12
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by syun368 at 2018-04-09 00:13
22:12の鍵コメさん
嬉しいお言葉ありがとうございます。
ひろとなおの行く末をバックボーンに、お店での人間模様を綴っていきたいと思います。
by syun368 | 2018-04-08 13:14 | 今日のひと品 | Comments(2)